近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

近鉄の新型名阪特急「ひのとり」に初めて乗車した。

 

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

大阪〜名古屋で新幹線と競合していることもあり、昔から完成度の高い車両を投入してくる近鉄こと近畿日本鉄道。「ひのとり」ではすべての座席にバックシェルがあり、後ろの人を気にせずリクライニングできることが特徴の1つだ。

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

デッキにはスーツケースを収納できるロッカーがある。これは一足先にデビューしていた観光向けの特急「しまかぜ」でお目見えし、ひのとりにも引き続き採用された。

車内にこのような設備(しかも無料)があることも、この系列の大きな特徴だ。荷物置き場をそなえる車両は増えているが、ここまでセキュリティがしっかりしたものはほかになく、画期的である。

大きさも申し分なく、街なかのコインロッカーでいえば700円のものに近い。筆者のスーツケースもすっぽりと収まった(スーツケースの大きさはこちらに掲載)。

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる 近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

施錠方法はICカード式が主流である。取っ手の上にある読み取り部にカードをかざし、つまみをひねることで施錠、解錠できる。無記名式のカードでもきちんとロックできるのでご安心を。数は少ないがシンプルな鍵式もあり、カードを持っていない人や忘れたときでも利用できる。鍵式を使うときは、鍵をなくさないように注意が必要だ。

 

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる 近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

ひのとりの客室には、普通車に相当の「レギュラーシート」と上級クラスの「プレミアムシート」の2種類があり、どちらも座席の上には荷物棚がある。

まずレギュラーシートだが、棚はやや小さめで、確実に載せられるスーツケースは幅45cmまでといったところだ。筆者のスーツケースはどちらかというと大型のため、やはり落ちそうで怖かった。

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる 近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

レギュラーシート車両には座席の上の棚のほか、一部の車両に開放式の荷物スペースもあり、上段と下段でスーツケースなどを1つずつ置ける。大きさは十分で、特に上段はロッカーをしのぐほど高さがある。

ただしカメラが設置されていること以外にこれといった防犯対策がなく、ワイヤーロックなどをかけておくところもないため、ロッカーにくらべてセキュリティレベルは落ちる。転落防止のバーはあるが、これはスイングするので鍵をつけてもあまり意味はない。

このスペースがあるのは車いす対応席の近くだったりするので、おそらく車いすやベビーカーなどの“ちょい置き”を想定しているのだろう。スーツケースを置くなら、ここよりもロッカーをおすすめしたい。

ひのとりには6両編成と8両編成があり、8両のほうがこのスペースの比率が高くなっている。

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[6両編成のひのとり]

  • ロッカー:1号車・2号車・3号車・5号車・6号車
  • 荷物スペース:4号車

[8両編成のひのとり]

  • ロッカー:1号車・2号車・3号車・7号車・8号車
  • 荷物スペース:4号車・5号車・6号車(※車いす対応席があるのは4号車のみ)

 

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

両端の1号車と6号車(8両編成では8号車)はアッパークラス「プレミアムシート」車両である。大きな座席にバックシェルという組み合わせは新幹線のグランクラスをほうふつとさせる。このタイプの車両はハイデッカーになっているため、眺めもよい。

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる 近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

しかし荷物棚はというと、ハイデッカーの影響をもろに受けたようで高さは28cmしかない。天井がゆるやかにRを描いているため奥へいくほど低くなり、筆者のスーツケースは載せようとしたところで引っかかってしまった。すぐにロッカー行きにしたのはいうまでもない。

なお、幅にいたってはなんと27cmしかないことが判明。これではかなり小さなものしか載せられないだろう。

【2022年4月22日追記】

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる 近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

機内持ち込みサイズの中でも特に小さなスーツケース(幅30cm)をプレミアムシートの荷物棚に載せてみた。結果は良好。

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる 近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

 

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

プレミアムシート車両のデッキにはロッカーが6つある。乗るときにはかならずここを通るため、大きなスーツケースはそのタイミングであずけてしまうとよい。

客室の出入り口には短い階段があり、ハイデッカーであることがよくわかる。すぐ隣にはカフェスポットもあり、200円で挽きたてのコーヒーを楽しめることもうれしいポイントだ。少し歩かされるが、これはレギュラーシートの乗客でも利用できる。このほか、冷たい飲みものがほしいときは3号車の自動販売機で買える。

近鉄特急「ひのとり」にスーツケースを載せる

ひのとりのコンセプトは「くつろぎのアップグレード」。荷物置き場が充実しており、大きな荷物を持ち込んでもそのコンセプトが損なわれないのはすばらしい。

また乗りたいと思わせてくれる、魅力的な車両である。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

北陸新幹線「かがやき」「はくたか」、上越新幹線「とき」などの車両(E7系)には、客室の中にラック式の荷物置き場がある。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

E7系は北陸新幹線の金沢延伸に先立って、2014年3月に東京と長野をむすぶ「あさま」でデビューした車両である。しかし座席の上の棚が小さく、大きな荷物を置くところに困るというウィークポイントがあった。そこでデビューから1年半後の2015年10月には早くも荷物置き場の設置工事が始まり、いまでは状況は大きく改善されている。

筆者は過去の記事で、東海道新幹線の予約制の荷物置き場(特大荷物スペース)について書いたが、北陸新幹線の荷物置き場は予約制ではなく早いもの勝ちであり、気軽に利用できることが特徴だ。

 

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

この荷物置き場は奥行きがおよそ80cmあるため、大きなスーツケースを寝かせて収納できる。横幅もスーツケースが2つ3つ収まるくらいはあり、キャパシティ的な問題はなさそうだ。しかも床にはミゾがついているため、スキー板など長尺物を立てかけられるようになっている。雪国を走る車両ゆえ、そのあたりはぬかりがない。

※スーツケースの大きさはこちらに掲載。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

荷物置き場があるのは偶数号車(&グリーン車の11号車)だけなので、指定席に乗るときは少し注意が必要だ。特に全車指定席のかがやき号では、うっかり奇数号車のチケットを買ったら自分の車両に荷物置き場がなかった…ということもありうる。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

【2022年10月30日追記】

奇数号車にも荷物置き場を設置する工事が2021年の半ば頃から始まっており、いまではほとんどの編成が奇数号車にも荷物置き場をそなえるようになった。筆者がこの日(2022年10月29日)に乗ったのもそうで、上の写真にくらべると奇数号車の鞄のアイコンが増えている。

関わりはまったくないものの密かに好んで読んでいる友輝様のブログ『Speed Sphere Express』によると、2022年9月時点で未施工の(=奇数号車に荷物置き場がない)編成も4本ほど残っているとのことだ。とはいえ、たったそれだけをいつまでも残すのはありえないだろう。荷物置き場のために偶数号車か、奇数号車かを気にする必要は、もうほとんどなくなっている。

 

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

大きな駅や都市部の駅にある「みどりの券売機」なら、座席表を見ながら自分で座るところを選べる。荷物置き場は東京方の出入り口の近くにあるので、指定席券を買うなら1列目から4列目のあたりまでにするとよい。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

はじめに書いたとおり、E7系は座席の上の棚が小さい。幅が35cmくらいしかなく、これを大きく超える荷物を載せることはおすすめできない。筆者は撮影のために少しだけ載せたが、危ないのですぐに降ろした。

北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について 北陸新幹線(E7系)の荷物置き場について

一方で座席の間隔が広いので、無理して荷物棚に載せるくらいなら、足元や最後部席の後ろに置くほうがよい。特に最後部席の後ろは広く、所定の荷物置き場に収まらない超大型荷物もここなら置けそうである。荷物置き場が先を越されたときなど、このスペースに頼らざるをえないケースも出てくるだろう。